-11-
H攻方は、同手数の攻手が複数ある時、
攻方の持駒が余るように詰めること。
このルールもDEGと同様、本手順と変化手順を
判別するときに必要なルールです。
Gと同じく、変化手順の中の攻手の話で、
同手数の詰む攻手が複数ある時、
攻方持駒が余る手順を優先させるということです。
K図は、J図に攻方5二歩を加えた図です。
▲2三銀△3一玉▲4三桂不成に、
(イ)同金は▲3二金まで5手詰。
(ロ)△4一玉は▲5一歩成まで5手(持駒金が余る)。
(イ)(ロ)とも手数は同じですが、ルールEにより、
持駒が余らない(イ)が本手順、(ロ)は持駒が余るので変化手順です。
ところで、4一玉に対して▲5一金まで5手詰(持駒余らない)の手順があります。(これを(ハ)とします)
これは、(イ)と同じ「5手持駒余らず」ですから、(イ)(ハ)は変同と考え、(ハ)を解答したらどうなるか。
こういう場合にこのルールHを適用します。
△4一玉の変化には▲5一歩成(5手金余り)と▲5一金(5手持駒余らず)の
複数の詰め方がありますが、
攻方持駒が余る▲5一歩成の方を優位順とするというのが、このルールHの意味です。
(さらに△4一玉には▲5一桂成△3一玉▲2二金までの7手持駒余らずの詰め方もありますが、
これはGによりすでに優位順から外れています)
GHはDEと同様、本手順と変化手順をどう判別するかのルールです。
これらのルールで、GHDEの順に優位順を付け、最終的に最も優位な手順が本手順となります。
K図の詰手順の枝別れを書きますので参考にしてください。
K図の場合、まず△4一玉に対する攻手が、
(4)▲5一歩成(5手駒余り)、(5)▲5一金(5手駒余らず)、
(6)▲5一桂成以下(7手駒余らず)と複数あるので、
ルールGHでこれを比較し、
(4)▲5一歩成(5手駒余り)を、△4一玉に対する優位順とします。
次に、これを基にして、▲4三桂不成に対する受手が、
(3)△同金(以下▲3二金まで5手駒余らず)と、
(4)△4一玉(以下▲5一歩成まで5手金余り)とがあるので、
ルールDEでこれを比較し、
(3)△同金を、▲4三桂不成に対する優位順とします。
同様に、△1一玉に対する攻手が、
(1)▲2二金(まで3手)、(2)▲1二銀成(以下7手)と複数あるので、
ルールGHでこれを比較し、
(1)▲2二金を、△1一玉に対する優位順とします。
最後に、これを基にして、▲2三銀に対する受手、
(1)△1一玉(以下▲2二金まで3手)と、(3)△3一玉(以下▲4三桂不成△同金
▲3二金まで5手)を、
ルールDEで比較し、
(3)△3一玉を、▲2三銀に対する優位順とします。
これにより、本手順は、「2三銀、3一玉、4三桂不成、同金、3二金まで5手詰」と決まります。
まとめますと、受方は「長い手順」「攻方持駒を使い切る手順」を選び、
攻方は「短い手順」「攻方持駒が余る手順」を選びます。
これを「最善手順」として説明している本もあります。
たとえとしては悪いかもしれませんが、実際の戦争と同じで、
攻められる方は、なるべく長く逃げられる方へ逃げ、どちらへ逃げても同じ長さなら、
なるべく相手の武器を使わせる方へ逃げる。
攻める方は、なるべく早く捕まえる方法をとり、
早さが同じなら、なるべく無駄な武器を使わない方法で捕まえる、ということでしょうか。
-11− |