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F図は、4二龍の利きが強く、▲1二金や▲2二金では詰みません。
ここは、▲3三角と打ちます。対して、(イ)△同龍は、▲1二金まで。
(ロ)△2二に合駒を打つ手も▲1二金まで。
(ハ)△2一玉と逃げる手は、▲2二金△同龍▲同角成まで(攻方持駒に飛が余る)。
さて(イ)(ロ)(ハ)のうち、どれが本手順か。
(イ)と(ロ)は、どちらも3手で詰み、詰上りに攻方持駒が余りません。
(ハ)は、5手かかりますが、詰上りに攻方持駒が余ります。
ルールDにより、(ハ)が最長なので本手順に見えますが、
攻方持駒が余り、ルールBの大前提に矛盾するので、変化手順とします。
一方、(イ)(ロ)は(ハ)より短い3手で詰みますが、持駒が余らないので、こちらを本手順とします。
この例のように、変化手順が本手順より長手数になることを「変化長手数」と言います。
変化長手数を略して通常「変長」(へんちょう)と言い、
この例は3手と5手が2手差なので「2手変長」です。
「変長」は昔は普通に発表されてきましたが、わかりにくく、はっきりしないため、
4手まで許容とか、2手は許容などの時代を経て、現在では不完全作として扱われています。
変長作品は今では発表されることはありません。
ただし、古い作品を鑑賞する場合は、その作品の発表当時は変長が当然に認められていたことを、
考慮する必要があります。
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