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E受方は、同手数の受手が複数ある時、

攻方の持駒が残らないように応じること。

 

                     


玉が早く詰まされるのが「変化」、長く逃げられるのが「本手順」と説明しましたが、

B図は、▲5三金に、()4一玉と逃げると▲3三桂△同金▲4二金までで詰み、

()6一玉と逃げると▲7三桂△同金▲6二金までで詰みます。


どちらも同じ手数ですが、()は詰上りに攻方の持駒が残らないのに対し、

()は取った歩が攻方の持駒として残っています。


そこで、このルールを適用して、()を本手順とします。()は変化手順になります。


では、B図の6二歩がなければどうか。

C図では、▲5三金に、()4一玉は▲3三桂△同金▲4二金、

()6一玉は▲7三桂△同金▲6二金まで、どちらも持駒が残らずに、同じ手数で詰みます。

このような場合は、()()どちらを本手順として解答しても正解となります。


B図やC図のように、変化手順が本手順と同じ手数になることを「変化同手数」といいます。

このうちB図のように、一方の手順で攻方持駒が残れば「変化」だと分かりますが、

C図のような場合は、どちらが作意手順か分からず、すっきりしないため、

作品としてはマイナス評価になります。

C図の場合は最終4手が変同ですが、最終2手の場合は普通、変同とは言われません。



もう一例、D図の場合は、▲5三金に、()4一玉は▲3三桂△同金▲4二金、

()6一玉は▲7三桂△同金▲6二金まで、どちらも攻方持駒の歩が残って詰みます。

この場合は、ルールBに反していて、作品がもともと不完全ということです。

詰将棋として成立してなく、作者側の責任ですので、どう解答しても正解として扱われます。



4二金の代わりに▲4二桂成、▲6二金の代わりに▲6二桂成でも詰みますが、

これがルールAで説明した「最終手余詰」です。

最終手(最後の1手)に限り、複数の攻手が成立するのが許されています。

作品としてなんら問題なく、解者がこれを答えてももちろん正解です。

「最終手余詰」については、15ページでもう一度書いています。


(最終改稿2016年9月11日)

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用語の説明 

変化同手数(へんかどうてすう)・・・・・変化手順が本手順と同手数になること。
                      通常、略して「変同(へんどう)」という。