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最後に「双玉(そうぎょく)詰将棋」について

書いておきます。

これは、攻方の玉も配置されていて、

双方の玉がある詰将棋です。

説明の混乱を避けるため、

今までのページでは一切触れませんでしたが、

詰将棋専門誌「詰将棋パラダイス」誌等にも普通に発表されていて、

詰将棋のジャンルのひとつとして確立されているものです。

双玉詰将棋が、普通の詰将棋と違う点は、攻方の玉が盤上にあることだけですが、

このため、受方が攻方の玉に王手をかけることが可能になります。

これを「逆王手(ぎゃくおうて)」といいます。

攻方は王手をかけ続けなければならないというルールにより、その逆王手を外しながら、

受方玉に王手をかけ続けなければなりません。

つまり、逆王手により攻方の攻手を制限しています。

と言ってしまうのは簡単ですが、奥はそんなに浅いものではありません。

双玉図は創ったことがありませんので、

名著「大道棋奇策縦横」(形幅清・著)から

転載させていただきます(同書466)

初手8六玉と金を取りながらの開き王手で

簡単に詰みそうですが、

8
六玉には9六金()合の逆王手があります。


王手ですので、攻方は同香と王手しながら王手をはずすしかなく、

続いて同銀成と再び逆王手されると、その王手に応じながら受方玉に王手を続けることができず、

詰まないということになります。

また、初手9三角成は8一玉で、ここから8二馬も8二飛成も、逆王手になるので指せません。

正解は、9三桂成、8一玉、9一角成、7一玉、8一馬、6二玉、6三香まで7手詰。

答えだけを見ると簡単そうですが、途中うっかり6二飛を動かすと、

5一の馬が9五玉を素抜く手があるなど、普通の詰将棋の感覚でかかると、かなりのスリルを

味わえます。


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