-16-
最後に「双玉(そうぎょく)詰将棋」について
書いておきます。
これは、攻方の玉も配置されていて、
双方の玉がある詰将棋です。
説明の混乱を避けるため、
今までのページでは一切触れませんでしたが、
詰将棋専門誌「詰将棋パラダイス」誌等にも普通に発表されていて、
詰将棋のジャンルのひとつとして確立されているものです。
双玉詰将棋が、普通の詰将棋と違う点は、攻方の玉が盤上にあることだけですが、
このため、受方が攻方の玉に王手をかけることが可能になります。
これを「逆王手(ぎゃくおうて)」といいます。
攻方は王手をかけ続けなければならないというルールにより、その逆王手を外しながら、
受方玉に王手をかけ続けなければなりません。
つまり、逆王手により攻方の攻手を制限しています。
と言ってしまうのは簡単ですが、奥はそんなに浅いものではありません。
双玉図は創ったことがありませんので、
名著「大道棋奇策縦横」(形幅清・著)から
転載させていただきます(同書466図)。
初手8六玉と金を取りながらの開き王手で
簡単に詰みそうですが、
8六玉には9六金(飛)合の逆王手があります。
王手ですので、攻方は同香と王手しながら王手をはずすしかなく、
続いて同銀成と再び逆王手されると、その王手に応じながら受方玉に王手を続けることができず、
詰まないということになります。
また、初手9三角成は8一玉で、ここから8二馬も8二飛成も、逆王手になるので指せません。
正解は、9三桂成、8一玉、9一角成、7一玉、8一馬、6二玉、6三香まで7手詰。
答えだけを見ると簡単そうですが、途中うっかり6二飛を動かすと、
5一の馬が9五玉を素抜く手があるなど、普通の詰将棋の感覚でかかると、かなりのスリルを
味わえます。
-16-
|