第55番 解答
7六馬 同飛 4二桂成 同玉 5一飛成 同玉 4三桂生 同香
6二金 4一玉 4二歩 同玉 3三銀生 5三玉 6三金 同桂
6五桂 まで17手詰

詰上がり「六」の字です。
初形が打歩詰の形。
いきなり4二桂成から作意手順通りに進めると、
5三玉の局面(右上参考図)になり、飛の守りが強い。
参考図から、8六馬は、7五桂(歩)合か6四桂合で詰みません。
(うっかり8六同飛や6四歩合は詰みますが・・)

「馬捨てによる飛筋ずらしのタイミングは初手のみ」というのが、テーマになりました。
後ろの15手は昭和50年代の旧作で、紛れがほとんどないので眠らせておいたもの。
露骨な駒取りがあり、桂生銀生の軽手はあるものの、ほぼ追手順で、
つまらないと思っていました。
今回頭の2手を加え、これが「最終手のための伏線」ということになり、
詰将棋らしくなりました。

初手7六馬に対する2手目の変化手順。
4三歩合は、4二桂成、2二玉(同玉は4三桂成)、2三桂成以下。
5四歩合は、4二桂成、同玉、4三歩、3二玉、2三角成まで。
6五歩合は、4二桂成、同玉、7五馬、同桂、4三歩、5三玉、6四飛成まで。
この変化のため、作意順初手8七馬は6五歩合で詰みません(他の合は詰む)。

本作は詰パラ誌の「高等学校」で月間首位の評価をいただきました。
初入選から46年、パラの学校での首位は初めてなので、うれしいです。
が、これを40年も眠らせておいたこと、そしてこれが首位?と、複雑な気持ちもあります。
初手が限定移動なので見にくいのと、詰め上がりの意外性、すっきり感あたりが、
評価されたようです。
あぶり出し曲詰であることの意外性が好評価に結びついているのなら、
昔の詰パラ誌の「曲詰特集」などのようにせず、
今回のように、曲詰以外の作といっしょに黙って採用されたのが良かったようです。
担当の小林尚樹氏に感謝です。

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